萬福寺の宝篋印塔

東急田園都市線の田奈駅の近くに萬福寺というお寺があります。応安2年(1369年)開基のとても古いお寺です。



その境内に1基の宝篋印塔(ほうきょういんとう)があります。



宝篋印塔というのは経典を収めた石塔で、墓塔や供養塔などを含めさまざまな目的で建てられます。特に位の高い人が建てたものは大きく豪華になる傾向があり、萬福寺の宝篋印塔は台の部分も含めて高さは3.3mもあります。

まずは各部の名称をメモします。



▲ 宝篋印塔 各部の名称


塔身北側: (蓮座月輪)[種字アク(不空成就如来)]
基礎北側:
      伏惟宝篋塔造立者
        諸善奉行最[頂?]
      佛像荘嚴者
      萬徳曰満之本基也
      寔此三世佛陀轉法
      輪浄利一方薩埵都
      亭功徳不□得□於
      是信心除煩悩垢穢



▲ 塔身北側 種字アク(不空成就如来)


▲ 基礎北側


塔身東側: (蓮座月輪)[種字ウーン(阿閦如来)]
基礎東側:
      潔三身[糸□]因而巳
      普天泰平国土安全
      五穀成就村里栄昌
      都文{三[百?]六道同家巨益 四恩九族共萠佛種}
      旹元文五庚申八月吉旦
       興栄山萬福寺智栄[葉十七]
      護持施主{恩田邑中 光明講中}



▲ 塔身東側 種字ウーン(阿閦如来)


▲ 基礎東側


塔身南側: (蓮座月輪)[種字タラーク(宝生如来)]
基礎南側:
      如是我聞一時薄伽梵
      在摩伽陀国無垢園宝
      光明池中興大菩薩衆
      及大声聞僧天竜薬又
      健闥婆阿須羅迦樓羅
      緊那羅摩睺羅伽人非
      等無百千衆倶前後
      囲繞[人小]時衆中有一矣



▲ 塔身南側 種字タラーク(宝生如来)


▲ 基礎南側


塔身西側: (蓮座月輪)[種字キリーク(阿弥陀如来)]
基礎西側:
      大婆羅門名無垢妙
      光多聞聰惠人所楽
      見常奉十善於三宝
      所決定信向善心殷
      重智惠微細常恒欲
      令一切衆生圓満善
      利乃至諸大衆明日
      晨朝至我宅中受我
      供養[人小]時世尊黙然



▲ 塔身西側 種字キリーク(阿弥陀如来)


▲ 基礎西側


元文5年(1740年)の宝篋印塔です。

塔身に刻まれた4種の種字は、金剛界曼荼羅で大日如来の四方にいる仏を表すものです。曼荼羅に合わせて次の方角を向いています。

東 阿閦如来
南 宝生如来
西 阿弥陀如来
北 上空成就如来


基壇に刻まれた文字は北側→東側、南側→西側で続きになっています。

北側から東側にはこの塔を建ててた人物、経緯、目的、世話人、日付などが刻まれています。不勉強なため詳しい文脈までは理解できませんでしたが、普天泰平、国土安全、五穀成就、村里栄昌などの祈願が読み取れるので、そういった利益を得ようとしたものではないかと思います。

南側から西側に刻まれているのは一切如来心秘密全身舎利寶篋印陀羅尼経(いっさいにょらいしんひみつぜんしんしゃりほうきょういんだらにきょう)という経文の一部です。

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